森田療法のこと

今は神経症も不安障害と呼ばれることが多くなり、精神科の病院などへ行くと抗うつ剤抗不安剤といった薬を処方される場合がほとんどになっていると思います。
最近では社会不安障害治療薬とか、パニック障害治療薬といったものまで現れてくる始末です。
しかし、社会不安障害は以前は対人恐怖症と言われていた症状であり、また、パニック障害は不安神経症と言われていた症状のことなのです。
つまり、もともと神経症に含まれる症状が、今は何か新しい病気のように受け止められ、新しい薬で対応しようとしているように感じます。
製薬会社の立場からすれば、新しい薬を作ることで会社の利益を上げることにつながりますから、新しい病気が出てくるのは大歓迎かもしれませんが、症状に悩んでいる当事者にとっては、大変な迷惑だと言わなければならないと思います。
かつて昭和の初め、第二次世界大戦以前は神経症というと精神分析森田療法といった精神療法で治療するのが普通だったと思います。
そして、実際に、これでかなりの治療実績を上げていたのだと思います。
このため、当時は森田療法専門の入院施設を持った病院が、全国各地にあったということも聞きます。
しかし、戦後、アメリカによって統制された日本では、精神医学の分野においてもアメリカの物質主義が浸透したように感じます。
そして、このために今では森田療法を行っている精神科の病院は全国でも数ヶ所になっているのが現状なのです。
この背景には、よく言われるように、今の健康保険制度の元では精神療法は時間ばかりかかり病院の収入に結びつかないという問題点が潜んでいるのです。
つまり、今の健康保険制度は薬をどんどん処方しないと病院の経営が成り立たないような形になっているのではないかと思うくらいです。
このため、神経症、今の言葉で言えば、不安障害に対する非常に優れた精神療法である森田療法が日の目を見なくなっているのは非常にもったいないことだと感じています。
しかし、何時か、後何十年後になるか分かりませんが、必ず森田療法の必要性が理解される時が来るのではないかと思っています。
こういう意味で、微力ではありますが、私もインターネットの世界で、森田療法に関する情報を発信して行ければと考えています。