赤面について

人前で緊張し赤面してしまうというのは、森太郎のホームページでも書かれているように赤面症や赤面癖と言われる対人恐怖の症状の一つになります。
そして、これは神経質性格を持っている人が、何らかのキッカケで顔が赤くなり恥ずかしい思いをしたといったことが原因になっているものなのです。
他のOCDの症状の場合にも言えることですが、対人恐怖を初めとしたOCDと言われる悩みは、もともと神経質性格を持っている人が、何らかの外的要因をキッカケにして起こってくるものなのです。
ですから、赤面の悩みというのは、うつ病とは全く関係がないと言えるのです。
しかし、今は赤面の悩みの場合でも、うつ病から来ていると診断され、抗うつ剤を処方されてしまうことが多いように思います。
ですから、精神科の先生だから安心だと考え、油断しないようにしていった方が良いと思います。
むしろ最近の精神科や心療内科の先生は、OCDから来ている症状でも、うつ病だと診断し、薬物療法だけで済ませようとする傾向があるように思います。
最近はようやくヨーロッパにおいて薬物療法ではなく心理療法を重視する方向になってきましたが、これからは日本も、これに見習って、心理療法を精神科の治療にもどんどん取り入れるようにしていった方が良いのだと思います。
幸い日本には森田療法という優れた心理療法があるのですから、これを活かさない手はないのだと思います。
イギリスなどではもっぱら認知行動療法が取り入れられているようですが、こと不安障害(神経症)に対しては森田療法の方が、より効果が期待できるのではないかと思います。
ただ、純粋なうつ病の場合には認知行動療法の方が危険が少ないと思います。
森田療法は良くカミソリの刃に例えられますが、不安障害(神経症)に対しては非常に効果が見られるのですが、純粋なうつ病の場合には逆効果になってしまうことも多いものなのです。
この点、認知行動療法はカミソリの刃ではなく、ナタの刃のようなもので、うつ病に対しても、ある程度の効果が期待できるのだと思います。
ただ、こういう状態であれ、今の日本のように薬だけで治そうとするよりは、はるかに良いことではないかと思います。

対人緊張について

前回書かせていただいた手の震えの場合にも言えることですが、対人恐怖などのOCDの症状は、人前での緊張、つまり、対人緊張が共通してみられる特徴になると思います。
苦手な人や偉い人の前では誰でも緊張しやすいものですが、こういう対人緊張を異常なこととか良くないことだと考え、無理になくそうとしてしまうと、逆に、ここに「とらわれ」が起こり、手の震えや赤面といったOCDの症状となって現れてくるようになるのだと思います。
つまり、感じて当然の人前での緊張や不安を異常なことだと考えてしまうところに大きな問題があるのだと思います。
常識的な人達は、人前で緊張せず堂々としていなければならないといった、「かくあるべし」の考え方をしていることが多いと思います。
特に、軽率な学校の教員や宗教家の方などの場合は、こういう「かくあるべし」の考えに沿って教育をしていることが多いように思います。
しかし、このために、OCDになりやすい神経質性格の子供は、マイナスの影響を受けていることが多いのではないかと思います。
「誰の前でも堂々としていなければならない」「誰に対しても愛情を持って接しなければならない」といった「かくあるべし」の理想像を押し付けられると、元もと生真面目な神経質性格の人間は、これを真に受けてしまい、人前で緊張したり、人を憎んだりした時に、これは異常なことであり、良くないことだと受け止めてしまうことになるのです。
しかし、時と場合によっては、人前で緊張したり、人を憎んでしまうこともあって当然だと言えるのです。
また、神経質性格でない人の場合はそれほど厳密には考えないために、無意識のうちに、人前で緊張したり、人を憎んだりすることもあって当然だと思えるのですが、厳密で、生真面目な神経質性格の人の場合は、このように柔軟に考えることが出来ず、「かくあるべし」の考えにとらわれやすいものなのです。
そして、このために、必要以上の対人緊張を感じることになってしまうのだと思います。

手の震えのこと

人前でサインをする時などに手が震えてしまうということで悩んでいる人も多いものです。
これは「書痙」と言われている症状でありOCDに含まれる症状だと言って良いと思います。
しかし、今は書痙(しょけい)という症状名が使われることが少なくなり、手の震えの悩みで病院へ行ったりすると、本態性振戦とか、パーキンソン病と診断されてしまうことが多いように思います。
そして、薬を処方されたり、下手をすると神経の異常から来るものだと言われて、手の神経の手術をされてしまうこともあるようです。
純粋に神経の異常から来る手の震えであれば、これで治る可能性もあるのですが、人前でサインする時に手が震えてしまうというのは、純粋な神経の異常から来るものではなく対人恐怖症などのOCDが原因になっている場合がほとんどだと言って良いと思います。
そして、この場合は、いくら薬を飲んだり、手の神経の手術をしても、これでは根本的な治療にはならないものなのです。
前回も書かせていただきましたが、OCDの場合は、「とらわれ」が根本原因になっていますから、手の震えに対する「とらわれ」がなくなって初めて症状が改善してくるものなのです。
しかし、残念なことに今は、このことに気付いている病院の先生が非常に少ないように思います。

過度の縁起かつぎ

不完全強迫と共にOCDで多く見られる症状に、過度の縁起かつぎという症状があると思います。
森田療法では縁起恐怖とか、神罰恐怖などと言われることもありますが、例えば、数字の4とか9が使えないとか、いつもする行動を同じように取らないと、何か悪いことが起こるように感じてしまい、まるで儀式のように、決まった行動を取ってしまうという人もいます。
こういう人の中には、トイレに入る時に右足から入るかどうかを意識してしまう人もいれば、歯を磨く時の磨き方を意識してしまう人もいます。
これは不潔強迫の人が何十分も手を洗うのと同じで、傍から見ても、少し異常に見えてしまうことが多いものなのです。
しかし、OCDから来る症状の場合は、統合失調症など純粋な心の病気から来る症状の場合とは違って、症状がエスカレートするということはないものなのです。
つまり、本人自身も、自分が過度になっているということを自覚していますから、強迫行為が行き過ぎてしまうことはないものなのです。
しかし、自覚がある分、本人の悩みとしては大きなものになっているものなのです。
そして、このために、薬に頼ったり、宗教にすがったりということも起こってくるものなのです。
しかし、このような症状だけに目を向け、これを治そうとする方向では、なかなか症状の改善は見られないものなのです。
通常の病気や怪我の場合であれば、症状に目を向け、これに対応していくことが大切なのですが、OCDの場合は、「とらわれ」が根本原因になっていますから、むしろ症状以外の現実的な目的の方に注意を向けるようにしていくことが大切になってくるのです。
森田療法ではこれを目的本位と言っていますが、症状はそのままに、目の前の「なすべきこと」をこなしていくという目的本位の行動を取るようにしていく中で、初めて「とらわれ」が減少し、この結果として症状の改善が見られるようになってくるものなのです。

不完全強迫について

OCDつまり、強迫性障害の中で代表的な症状になるのが、今回取り上げさせていただいた、不完全強迫という症状になるのではないかと思います。
これは不完全恐怖とか、不完全恐怖症と言われることの方が多いように思います。
外出する時にガスの元栓や戸締まりが気になり、家に戻って何回も見直してしまうといった形で現れてくる症状になります。
また、加害強迫の症状と重なった場合は、自動車で人を引いてしまったのではないかということが気になり、何度も、気になる場所を確認しに行ってしまうこともあります。
また、不潔強迫と重なった場合には、何度手を洗っても気が済まないということで、何時間も手を洗い続けてしまうということも起こってくるものなのです。
このように、普通であれば、一度か二度で終える行動を、何十回、何百回と繰り返してしまうのが、不完全強迫の症状だと言って良いと思います。
そして、このような症状が起こる背景には、何事も完全でないと気が済まないという完全欲の強さという特徴があるのです。
これは神経質性格の特徴の一つですから、不完全強迫の症状も、もともと神経質性格を持った人間に起こってくるものだと考えて良いと思います。
しかし、神経質性格というと、一般的にはマイナスのイメージがあるために、特に若い女性の場合などは、自分のことを神経質性格だと認めたがらない傾向が強いものなのです。
そして、このため、話をややこしくしていることも多いものなのです。
つまり、本来、強迫性障害から来る症状であるにも関わらず、本人が神経質性格であるという自覚がない場合に、統合失調症などの純粋な心の病気と間違われてしまうことが多いものなのです。
これは不完全強迫の場合にだけ言えることではなく、あがり症や対人恐怖の場合にも同じように言えることだと思います。
ですから、まず、自分自身が神経質性格を持っているかどうかを、きちんと見極めるようにしていくことが大切になってくると思います。
今はインターネットのサイトでも、例えばMT心理カウンセリングルームのように、神経質性格かどうかの判断をしてくれるところがありますので、こういうところを利用して、自分が神経質性格を持っているかどうかを見極め、この上で対応策を考えていくと良いと思います。

強迫性障害のこと

このブログのタイトルにも使わせていただきましたが、OCDというのは強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder)の略語になります。
これは強迫神経症と同じことになりますが、アメリカの精神医学会によって策定されたDSM-IV(『精神失調の診断と統計の手引き』第4版)によって分類され、最近では、OCDという名称が多く使われるようになってきました。
このため、私も、これに習って、OCDという言葉を使わせていただいていますが、意味としては強迫神経症ということになりますので、御了承いただければと思っています。
前回、書かせていただいた対人恐怖も強迫神経症に属するものですから、OCDの1つの症状だと言って良いと思いますが、DSM-IVにおいては社会不安障害社会恐怖)ということで分類されていたように思います。
ただ、こういう分類は、あくまでも便宜上のものであり、その治療や対応の仕方においては、従来からある森田療法などの精神療法が必要になってくると思います。
今はアメリカの影響を受けて、何でも薬で治そうとする傾向が強くなっていますが、最近のイギリスのように薬物療法の限界を自覚し、精神療法で治そうとする傾向が出てきているのは、良いことだと思っています。
ただ、イギリスの場合は、健康保険制度がしっかりしており、薬を出さなくても病院の経営に問題が起こることがないために精神療法を取り入れることが出来ているという面もあるように思います。
しかし、純粋に症状の治療という面だけから考えれば、イギリスの進もうとしている方向の方が正しいのだと思います。
しかし、残念なことに今は、日本もアメリカと同様に、製薬会社の営利や、医師の既得権益のために薬物療法主体の精神治療が行われているというのが現実だと思います。
そして、マスコミなども、こういう点の問題は、ほとんど取り上げることがないために、実際は、大きな社会問題であるにも関わらず、今は、ほとんどの人が、この問題に気付かずにいるということではないかと感じています。

対人恐怖のこと

対人恐怖と言われてもピンと来ない人の方が多いと思いますが、これは人前で緊張し手が震えてしまったり、顔が赤くなってしまうような悩みのことを言います。
一般的には、あがり症とか、対人恐怖症、社会不安障害と言われることが多いと思いますが、森田療法では対人恐怖と言っていると思います。
私の場合は中学に入った頃から耳たぶが赤くなるということで悩み始めました、朝礼で整列して並んでいる時に後ろの同級生から耳が赤くなることで変に思われているに違いないと感じたことが「キッカケ」だったように思います。
この頃は、トイレに行ってもまたすぐに行きたい気がしてしまうという頻尿恐怖と言われる症状にも悩んでいました。
また、今考えると不完全恐怖ということになりますが、新学年になって新しい教科書をもらった後で、教科書のページが湿気で波を打ったように曲がるのが気になってしまい、教科書に重しを載せたりしていたことを思い出します。
ただ、やはり顔というか耳が赤くなることが一番の悩みだったと思います。
そして、これを「キッカケ」にして、これから20年近く、色々な対人恐怖の症状に悩むことになるのですが、これについてはまた、機会を見て書いていきたいと思います。